ugoはこうして生まれた〜開発の舞台裏と描く未来〜

※本記事は自社公式noteからの転載です。

ロボットと聞くと、産業用ロボットの開発やお掃除ロボットや家庭用ペットロボット、最近はアメリカや中国のヒューマノイドロボットがイメージされますかね。
そこからイメージするロボット開発は最先端でスマートな世界が想像されるかもしれません。

でも実際の開発現場は、泥臭くて、地道で、うまくいかないことの連続です。
ugoというロボットが、どうやって生まれ、どんな進化をしてきたのか。
本記事では、その軌跡と、今も変わらず大切にしている原点をお伝えします。

創業〜開発のはじまり:IoTの先に見えた“リアルな課題”

当社CEOの松井は、もともとIoT受託開発を手がける「株式会社ミラ」の創業者です。
https://www.madebymira.com/

IoT技術の進化によってモノが次々とインターネットにつながって便利になっていく一方で、 “モノとモノとの間のプロセスを補う” つまり、物理的な行動そのものは、依然として人の手に頼られているという課題が残っていました。
加えて、少子高齢化の進行や共働き世帯の増加といった社会の変化に対して、「自分の子どもたちが大人になったとき、この社会はどうなっているんだろう?」という危機感を強く持ちました。

人の暮らしや仕事を物理的に支える存在=ロボットにこそ未来があると考え、ロボティクスによる課題解決に本格的に取り組むべく、Mira Robotics株式会社(現:ugo株式会社)が設立されました。
最初に手がけたのは、洗濯物を干す・畳むといった家事を代替するロボットの開発です。


試作と失敗の繰り返し

当初は、蜘蛛のような複数の脚を持つロボットや、顔のない腕だけのロボットなど、さまざまな構造のロボットが試作開発されていました。
プロダクトとして発表した「家事代行ロボットugo」に近づくまでには、無数の失敗と改良の積み重ねがありました。

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当時の展示会の様子

ちょうどその頃、洗濯物を自動で折りたたむ家庭用ロボットとして注目を集め、巨額の資金調達にも成功していたあるプロジェクトが、惜しくも事業継続を断念。
「誰もが知るあのプロジェクトですら実現できなかったのに、ugoにできるのか?」という目が家事代行ロボットugoに向けられていました。

資金も時間も限られていた中で、それでも私たちが大切にしていたのは、「いますぐに売れるかどうか」ではなく、「社会にとって本当に意味があるか」という問いです。
その信念を頼りに、何度も作っては壊し、少人数で改良を重ねながら、一歩ずつ前に進んでいきました。


ターニングポイント:警備ロボットへの転換と、その舞台裏

大きな転機となったのは、2019年の国際ロボット展への出展です。
展示を終えた直後、松井はugoを持ってビルメンテナンス業大手の大成株式会社を訪問しました。
これまで何百社に断られ続けていた中での訪問でしたが、そこで当時の専務(現:代表取締役社長)からこんな言葉をもらいました。

「このロボットでエレベーターのボタンが押せたら、ビルの警備業務で使えるかもしれない。」

この一言が、開発の方向性を大きく変えるきっかけとなりました。
すぐに「家事代行ロボット」から「警備ロボット」への転換が決定し、開発が一気に加速。
その後、品川シーズンテラスでの実証実験へとつながり、ugoの警備活用が本格的にスタートしました。

当時の記事
人間の3倍働けるロボットでビル警備をDX。大成とugo – Impress Watch

ただし、当時の体制はまだまだスタートアップの創業初期。
拠点は神奈川県のKSP(かながわサイエンスパーク)にある50平米ほどの一室で、執務・会議・開発スペースすべてが同居する状態でした。
開発中の洗濯機やトイレのモックアップ、数台の3Dプリンタ、社員のデスクが入り乱れたその空間は、
今思えば”カオスな開発現場”そのもの。

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当時の開発機たち
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塗装後のパーツ
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初めての出荷機体


社長の背後では3Dプリンタたちが常に轟音を立てて稼働し、社員同士はデスクの取り合い。
それでも、あの雑多な空間こそが、ugoの社会実装を本気で目指す開発スタイルの象徴でもありました。

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当時のugoを支えた3Dプリンタたち
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当時のオフィスの様子1
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当時のオフィスの様子2

未来へのバトン:ugoが目指す社会

現在、ugoは警備・点検・案内・接客など、多様な分野で活躍の場を広げています。
しかし、私たちは「高性能なロボットを作ること」を1番に目指すのではありません。
“社会に実装され、役に立つロボット”を作ることこそが、私たちの開発の中心にあります。

ロボットが人の代わりに働くことで、
「人がもっと人らしく生きられる時間や選択肢を増やすこと」。
それがugoが目指す未来です。


おわりに

ugoには、華やかに見える部分の裏側に、数えきれない失敗や再挑戦、そして多くの人の想いが詰まっています。
人とロボティクスの融合で社会課題を解決していきたい。
それが、私たちがロボティクスに取り組み続ける理由です。
ugoを見かけたら、 「このロボット、そんなところから始まったんだな」とちょっとだけ思い出してもらえると嬉しいです。