親しみと先進性が同居する次世代機へ
ugo Novaのデザインを手がけたGK京都に聞く


かたち、色、素材、そして制約

ボディの形状について、特にこだわったポイントを教えてください。

先ほどもお伝えしたように、仕事ができ、信頼のおけるやつだと感じていただきたいという想いがあり、「姿勢がよく見えるシルエット」と、「しっかりとシェイプアップしただらしなさを感じさせない体つき」は強く意識しています。親和性を高めるために、やわらかく優しい見た目にしたいという想いもありますが、怠惰な人に見えてはいけないのです。引き締まっていて、自分にストイックで、頼りにされるような形状を目指しました。

造形は基本的には直線ではなく張りのある曲線をつかって構成しています。完全な直線は機械的な印象を与える一方で、信頼性や精度感を生み出す要素でもあるため、要所では意識的に取り入れています。

カラーリングや素材、表面の仕上げはどのように検討しましたか?

色に関しては、最終製品では変わる可能性はありますが、基本的には現行ugoロボットの印象を崩さないマットホワイトで、クリーンでモダンな印象を持たせ、若干青みを感じるガンメタ塗装とのデュオトーンにすることで、剛性感の中に先進性を感じられるようにしています。初期段階では、より優しくモダンな印象を持たせるグレージュなどの暖色系のペイントや、布系マテリアルや、先進性を印象づけるシルバー系のカラーリングも検討していましたが、よりコンセプトを体現できている今のカラーリングに終着しました。

まだ最終製品という段階ではありませんし、コストとの兼ね合いもありますが、汚れや傷だけでなく、摩耗や変色、紫外線などによる黄変など、様々な観点で耐候性の高い材料や仕上げを追求していきたいです。特に白い樹脂パーツは黄変しやすく、黄変した白い樹脂は今回表現したい「先進的で信頼感の高いデザイン」とは真逆の印象を生み出しかねませんので、最終仕様には細心の注意を払い、しっかりとモノに落とし込んでいこうと思っています。

設計上の制約で悩んだ点はありましたか?また、どのように乗り越えましたか?

はい、たくさん悩みました。ですが設計の方との共創は、我々の業務の根幹となる部分です。設計的課題は常にあるものですし、制約のないプロダクトはほぼありません。特にヒューマノイドロボットのように可動部の多いプロダクトにおいては、複雑な要件が多くあり、要件が変更されることも非常に多いのが常です。

例えば、なるべくコンパクトな見た目にしたいけれど、内部構造の変化やケーブルの取り回しにより肥大化する恐れがあるという情報を得た場合は、まずその条件をしっかりと理解し、スタイリングで解決できないかを第一に検討します。たとえば要件上、内蔵物が大きくなった場合でも、外装(デザイン面)を変えることで見た目の大きさを変えずに要件へ対応できる、といった具合です。デザインは常に柔軟性を持ち、様々な課題に対し最適解を探しては投げる。そのキャッチボールをugo社さんとしているような感じです。

具体的なエピソードを教えていただけますか?

当初、アームは筒状のシンプルなデザインでした。ですが先ほどもお伝えしたように、アクチュエーターの大きさや、ケーブルの取り回しの観点からどうしても径が大きくなるとの要件をいただき、筒状ではなく、より内部構造に素直な三次曲面形状へと変更しました。それにより、大きさや太さを感じさせずに、以前よりも精度感のあるデザインへ昇華できたように感じています。

全体的に削るところは削ってコンパクトに見せ、立体的で精度感のある見た目を追求しています。ですが、どうしても板金の条件などを解決するために、部分的に膨らませなくてはならない箇所が出てくるときには、頭を抱えます。たとえば腰まわりのアームの片側だけポコッと一段出ている箇所があるのですが、これはプロジェクト終盤に変更されたケーブルの取り回しの要件によるもので、当初は片側で30mm、ミラーリングすると左右合わせて60mmも太くなってしまうという条件でした。スタイリング的には絶望的な条件だったのですが、弊社内で何とか対案を検討し、結局片側の必要な箇所だけを膨らませ、逆にデザインのチャームポイントにするというやり方で乗り越えることができました。

まだ完成しているとは思っていませんし、今後も様々な制約に対してどのように解決し、ブラッシュアップさせるか。それがこの仕事の面白いところでもあります。ugo社から、パズルゲームのお題が届くみたいな感じですね。

ugo社の設計チームとはどのように連携してデザインを進めましたか?

デザインは、いきなりugoチームに発表するという形ではなく、毎週行っている定例ミーティングでお互いの進捗を共有し合い、徐々に一緒に作り上げていっています。いわゆるCADデータや3Dモデルをスクリーンショットしたパワーポイントの資料でわくわく感を感じることは難しいのですが、不定期に本物と見間違えるような綺麗なレンダリングをお見せしたり、動画や「ミラノサローネで展示されている風のイメージビジュアル」などもつくることで士気を高めるとともに、今自分たちが何をデザインしているのかをしっかりと意識づけていきました。私がデザインする上で大事にしている「最終地点の想像」を、全員に共有しながら進めている感じです。

最初の提案から最終デザインに至るまで、大きく変わった点はありますか?

デザインの方向性の変更は何度かありました。冒頭にお伝えした「Soft Blocks」の後には、よりコンセプトカーのようなスタイリッシュな方向性も模索しました。その検討の末、可愛さと先進性が上手く調和した現在のスタイリングへと行き着きました。我々としては、まずugo社さん、松井さんに納得していただかなければいけないというプレッシャーもあったので、デザインをご説明した後に松井さんから「かっこいいと思います!」と言われた時はとても嬉しかったことを覚えています。

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